アフリカで今、ドローンが熱い!ケニア初のドローンエキスポが開催【Pick-Up! アフリカ Vol.34:2022年5月27日配信】
訳 : ケニアでドローン展示会の開催が決定。
英題:‘Kenya’s Inaugural Drone Expo Set for Take-Off’
記事リンク:https://allafrica.com/stories/202205110183.html
こんばんは!pick-up!アフリカです。いつも記事をご覧いただき、ありがとうございます。
今回お届けするのは、ケニアで初めてドローンとデータの展覧会が開催されるというニュースです。
このようなエキスポが初めて開催される背景として、アフリカにおけるドローンの導入が盛んになってきていることが理由として挙げられます。
先週の記事では、ルワンダでドローンを用いて輸血用の血液やワクチンの輸送を行うビジネスについて取り上げました。
農業分野においても同様の動きはみられており、以前私たちの記事では、南アフリカの企業が行っているドローンと衛星画像を用いて果樹の栽培管理を行うサービスについて特集しています。
このように、現在アフリカではドローンがあらゆる産業分野で有効な手段として期待されています。
本記事では、今後アフリカで普及するとみられているドローンについて、その背景と未来についてまとめました。
アフリカにおけるドローンの役割
引用元の記事によると、5月29日から6月4日にかけてケニアのナイロビで同国初のドローンエキスポが開催されるとのことです。
このエキスポは、ケニアの公認ドローンパイロット養成機関であるDrone Space Kenya主催の元、ケニア民間航空局(Kenya Civil Aviation Authority:KCAA)とKonza Technopolis Development Authority (KoTDA)が共同で開催しており、「ケニアの経済成長と第4次アフリカ産業革命におけるドローンとデータの役割」をテーマとして掲げています。
ケニア以外にもこのようなドローンの展示会は、近年アフリカ各国で行われています。
近年IT立国として知られているルワンダでは、2020年に政府主催のドローンの展示会the 2020 Africa Drone Forumが開催されており、アフリカ大陸内ではドローン産業の盛んな国として知られている南アフリカでも2021年に大規模なドローンの展示会(Drone Con)が開かれています。
このようなアフリカにおけるドローン産業の発展の背景には、アフリカが抱えるインフラ面の課題が挙げられます。
アフリカ諸国においてインフラが完全に整備されている国は未だ限られており、こちらの記事によると舗装された道路から2㎞圏内で生活している人々はアフリカの全人口の34%に過ぎないそうです。
また世界銀行によると、アフリカ諸国全体で1000㎞²あたり平均204㎞の道路があり、舗装されているのはその4分の1に過ぎないとされています。世界では、平均の1,000km2あたり944km、半分以上が舗装されており、このことからもアフリカの交通が世界に比べても遅れをとっていることがわかります。(参照記事)
このようにインフラ面での課題を多く残すアフリカの国々にとって、ドローン産業の発展は物流や医療などの分野で非常に大きな意味を持ちます。
実際に今回取り上げたイベントを主催しているDrone Space Kenyaの最高責任者Tony Mwangi氏もアフリカのインフラについて言及しており、ドローンエキスポの開催の目的に、ドローンの活用によってインフラに関する様々な課題を解決する狙いがあると述べています。(参照記事)
アフリカのドローン利用の実例
では現在アフリカでは、どのようなドローンビジネスが行われているのでしょうか?
ここでは私たちの過去記事を踏まえながら、その例をいくつかご紹介します。
先月私たちの記事では、ルワンダでの医療用ドローンの実例を取り上げました。こちらで取り上げているZiplineという企業は、交通網が未整備であることで医療物資やサービスが不足している地域にむけて、ドローンを利用してワクチンや輸血用血液を輸送しています。
農業分野においても、ドローンの参入が多くなってきています。農業はアフリカのほとんどの国々にとって主要産業となっており、私たちの以前の記事によると、アフリカ全体の就業人口のうち65%が農業に従事していると記されています。その一方でMackinzeyが発行したこちらのレポートによると、アフリカの農作物の生産量は本来あるポテンシャルの三分の一から二分の一にしか満たないとされており、生産性において大きな改善の余地があることが示唆されています。
このことから、ドローンを使用することによる農業の生産性の改善には大きな需要があるとみられています。
ウガンダの種苗会社であるEquator Seeds Limited社は、種子の作出のための栽培時にドローンを用いて種子散布を行っています。PwC社のレポートによると、ドローンでの播種を行うことで75%の収穫率、85%のコストカットを実現したというデータがあり、この手法を用いることで大きなコスト削減が実現できるとみられています。
ケニアのドローン事情は?
最後に、今回ドローンエキスポが開催されるケニアのドローン事情についてご紹介します。
今回のエキスポの開催にはKonza Technopolis 開発委員会(Konza Technopolis Development Authority : KoTDA)が関わっており、ケニアが現在開発を進めているスマートシティ、Konza Technopolisの存在が、ドローンの普及拡大にも関与していると思われます。
こちらの記事によると、Konza Technopolisはナイロビの南東64㎞に位置する都市で、ケニアが国を挙げて推し進めている一大スマートシティプロジェクトです。
記事によると、Konza Technopolisは情報インフラに強く、かつ清潔、安全で暮らしやすい都市を目指しており、海外の企業や情報系の大学を誘致することで、2030年までに20万人以上のコミュニティ、1万7000人の雇用、13億ドルの地域総生産(GRP)を創出すると期待されています。
このようなスマートシティプロジェクトに沿うようにして、ケニア政府は2021年初頭に民間人のケニア国内でのドローンの所有および運転免許の発行の法整備を行っています。
こちらの記事によると、ケニアでのドローン操縦免許取得者は2022年2月時点ですでに300人に及んでおり、順調にその数を増やしているようです。
こちらの記事では、Konza Technopolisプロジェクトの第一フェーズが2022年末に完成する予定であることが述べられていることからも、スマートシティの完成に伴い、ドローン産業の発展を促すような動きが見受けられます。
いかがでしたでしょうか。さらなる経済発展が期待されるアフリカにおいて、今後ますます様々なドローンを生かしたビジネスが生み出されることが期待されます。
私たちPick-Up!アフリカでは、これからもドローンビジネスやアフリカのICT関連のニュースを取り上げていきます。
ご興味のある方は、是非ご覧ください!
またアフリカ進出に関するご相談についても、その下のリンクからお気軽にお問い合わせください。
参考記事:
1.About – African Drone Forum – Link
2.Drone Con –Link
3.About – African Drone Forum – Link
4.AfDB puts Africa’s infrastructure deficit at $108bn.