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アフリカ・ルワンダ オフショア開発 / 進出支援コンサルティング
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新型コロナウイルスでアフリカの農業はどう変わったのか?【Pick-Up! アフリカ Vol. 228:2021年10月22日配信】

訳 : アフリカの農家はどのように新型コロナウイルスに対処したのか?

英題:How did African farmers cope with COVID-19?

こんばんは!いつもPick-Up!アフリカをご覧いただきありがとうございます。

今回は、農業関連の記事をご紹介します。

記事リンク:https://www.newfoodmagazine.com/news/157404/african-agriculture-covid-19/

内容と背景:

2020年に世界的な流行をみせた新型コロナウイルスの流行ですが、ワクチンの普及により落ち着きを見せつつあります。アフリカ開発銀行グループの発表によると、アフリカでの新型コロナウイルス累計感染者数は10月10日時点で838.9万人にも上り、地域全体に大きな影響を及ぼしました。しかしながら、新規感染者数は4.9万人で、前週に比べ46.0%減少するなど、多くの地域で収束傾向にあります。*1

この未曽有のパンデミック下で、アフリカの農業を取り巻く環境はどのように変化し、どのように対応したのでしょうか。今回は、新型コロナウイルスの感染拡大によりアフリカの農業が受けた影響、そして農家の対応について書かれた記事をまとめました。

新型コロナウイルスのアフリカ農業への影響

記事によると、新たに発表された研究により、東アフリカの農家は南アフリカの農家に比べ、コロナウイルスによる被害が少なかったことが分かりました。これらの地域ごとの違いは、感染拡大防止のためのロックダウンが行われた時期と、農作物の生育時期が重なったことにより引き起こされました。

アフリカ南部では、ロックダウンの開始時期が豆作物の収穫時期と重なっていたことで、現地の人々の生活は大きな影響を受けました。そのため、感染拡大への恐れから作物の流通が滞り、結果的に多くの作物が廃棄されました。

一方東アフリカでは、ロックダウンの時期が作物の生育時期にあたっており、ロックダウンにより親族が都市部から戻ってきたことで労働力が増加するなど、農業にとって有利に働きました。世界銀行の調査でもこの傾向は明らかになっており、実際に新型コロナウイルスの発生前は農業に従事していなかった家族が、発生後に農業を手伝うようになったことで、サブサハラ地域のほとんどで小農家の世帯人数が増加したことが分かっています。*2

加えて、アフリカの農家に大きな影響をもたらした要因として、肥料・飼料の主な輸出国であるアジアでのパンデミックがあげられます。アフリカの小農家のほとんどが肥料や飼料等の農業資材の輸入の大半をアジアに頼っており、そのためアフリカの食糧供給にも大きく影響しました。

食品加工における技術力や政府の支援の違いも、コロナ禍における農家の生産額の地域差に表れています。最も大きな違いは、アフリカ東部の農民のほうが農産物に付加価値をつける能力が備わっているということです。特にケニアでは、牛乳処理能力が高く、政府によりミルクトラックが必須サービスと宣言されたことで、乳製品生産地域での牛乳をバターやヨーグルトに加工する農家数が増加しました。

メッセージアプリの普及

今回の新型コロナウイルスの流行によって、アフリカの農家の間でメッセージアプリが急速に拡大したことが判明しました。ロックダウンや感染拡大防止の措置により、農場にいる時間が多くなったほか、農産物の卸売業者とのやり取りを遠隔で行う必要性から、このようなメッセージアプリの使用率の増加につながったとみられています。

2020年末時点で、サブサハラ地域の人口の約46%、約4.9億人の人々がスマートフォンを契約しており、また2019年時よりも約2千万人増加するなど、アフリカでのスマートフォンの普及は急速に拡大しています。*3 このようなスマートフォンの普及は、コロナウイルスの感染状況に関わらず、アフリカの農家の経済基盤の向上に貢献すると見られています。過去の記事でご紹介したように、世界的なスマート農業技術の広がりがアフリカでも表れており、アフリカの小農家の間でもスマートフォンを利用した新しい農業の形が見られると予想されています。アフリカのスマート農業への取組みについては、関連記事をぜひご参照ください!*4,5

今後の展望

アフリカ疾病予防管理センター(CDC)のデータによると、10月17日時点でアフリカ全土でのワクチン接種回数は1億7,463万回となっています。しかしながら、そのうちの25.2%をモロッコ、エジプト、南アフリカの三か国が占めているなど、依然としてワクチンの普及率の低い国が散見されます。今回の記事でもご紹介した様に、アフリカ内でも国や地域ごとの経済力、政治、文化など、様々な要因から新型コロナウイルスへの対応に違いが生じています。

今後、新型コロナウイルスからどのように元の生活を取り戻すのか、アフリカ各国の対応が問われると同時に、農業のスマート化がどのように加速していくのかにも注目していきたいです。

関連・参考記事:

*1:アフリカにおける新型コロナウイルス感染状況(アフリカ銀行開発グループ)- Link

*2:「Agriculture as a buffer in COVID-19 crisis: Evidence from five Sub-Saharan African countries」- Link

*3:「Mobile Phone Penetration Throughout Sub-Saharan Africa」- Link

*4:ドローンと衛星を活用する農業セクターでの動きを紹介!【Pick-Up!

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