母国語でアフリカの観客にリーチする:アフリカの1つの映画の取り組み
Reaching African audiences in their mother tongue: one film’s ongoing legacy
記事リンク:https://theconversation.com/reaching-african-audiences-in-their-mother-tongue-one-films-ongoing-legacy-154522
内容と背景:
アフリカ大陸内の国々では、2000種類以上の言語が日常生活の中で話されています。しかし世界の人口の約40%は母国語で教育が受けられず、アフリカ大陸全体でも、何百万人もの生徒が母国語で教育を受けていないと言われています。
そこで本日は、アフリカの子どもたちの母国語である現地語が、教室内でどのように存在しているのかについて着目し、ユーモラスな視点で描いた映画について紹介されている記事をピックアップしました。
「Colors of the Alphabet」というタイトルのこの映画は、アフリカの言語と子ども時代を映した長編ドキュメンタリー映画です。ザンビアの3人の子どもとその家族の物語を追い、ある一つの重要な問いを投げかけています。
”Does the future have to be in English?”
ストーリーの主人公はザンビアの田舎の新小学校1年生のSteward、 Elizabeth と M’barak の3人。学校で習う全ての勉強は、家での言語とは異なり、一生懸命苦労しながら思いのままにならない勉強を頑張ります。
この映画は、3人の子どもたちのユニークな視点から、世界的な現象や課題についてユーモラスに切り込んでいる内容となっているようです。
映画では、使われている言語をユニークに表現することも目指しており、そのために、使われている言語を字幕にする際に、色で識別する方法をとっています。しかし、これをうまく汲み取ることができるのは英語を話す人や英語字幕を読む人だけだったようで、映画の中で使われている言語の多様性を完全に伝えるには至らなかったと記事では伝えられています。
この現地語と教育言語の問題について、ユネスコの「グローバル教育モニタリングレポート2016」では、特に小学校レベルで母国語での教育が不可欠であることが示唆されています。知識のギャップを避け、子どもたちが学び、理解する速度を上げるために、少なくとも6年間母国語で教育を受けるべきであるということが推奨されているようです。
実際に一部のアフリカ地域では、小学校は現地の言語を授業に取り入れており、一部の学校においては現地の言語のみで教えている場合もあるといいます。(1)の記事で示された研究結果によると、初等教育は子どもたちが慣れ親しんでいる母国語または別の言語から始める方がよいことが明確に示されているということです。
その一方で、保護者や、中流階級の人々、国のエリートたちの多くは、ヨーロッパの言語を支持し、現地語教育に否定的な考えを持っている人が一定数いるということも事実です。私立学校への進学や高等教育への進学を考えると、英語やフランス語などの言語を身につけていることが有利であるということが主な理由とされています。
しかし、小さな村の小学校に在学する子どものうち、どれだけの子どもたちが、ホワイトカラーの仕事に就くことになるのかということについては、疑問が残ります。これについて専門家からは、国際言語を主要な教育言語として使用するのではなく、科目として教えることができるのではないか。という意見が多く出ているようです。
本日ご紹介したColors of the Alphabetは、より多くの言語にアクセシブルであるために、様々な関係団体と協力して、数多くの現地語への翻訳を実現させています。例えば、Economic and Social Research Councilからの資金提供のおかげで、アフリカ全土で30の言語に無料で対応できるようになったということです。さらに、今年のInternational Mother Language Dayに向けて40言語への対応を目指してプロジェクトが進行中ということです。
”Does the future have to be in English?”
という言葉が心に残ります。少数言語を母国語に持つ子どもたちにとって、本当に良い教育方法は何か、この映画を見れば考えを深めることができるかもしれません。
関連・参考記事:
- Colors of the Alphabet – Link
- Should African schools teach more local languages?