みなさん、こんばんは。いかがお過ごしでしょうか。
本日のアフリカビジネスTodayは、AfCFTA(アフリカ大陸自由貿易地域協定)に関する記事の二本立てでお送りいたします。AfCFTAのコミットメントランキング・COVID-19の影響について詳しく紹介させていただいていますので、ぜひお読みください。
アフリカビジネスTodayは、今週も毎日更新予定です。明日もご期待ください!
記事1:『Report: Rwanda most committed to AfCFTA』
記事リンク:https://www.newtimes.co.rw/news/report-rwanda-most-committed-afcfta
内容と背景:
まずは、AfCFTA(アフリカ大陸自由貿易地域協定)に関するコミットメントランキングについての記事を紹介します。最も熱心な国であると評価された国はルワンダでした。
AfCFTA Year Zero Reportという新しい公式レポートによると、ルワンダがアフリカ大陸自由貿易地域協定に最もコミットしている国であるということが発表されました。
このレポートは大陸の枠組みのもとでの貿易の準備基準を提供するものであり、アフリカのリーダーによって開始されたAfroChampions Initiativeによって公開されました。
レポートでは、AfCFTAプロセスに最も熱心に取り組んでいる国と、貿易インフラ、通関効率、信用へのアクセスの点で、どの国が導入準備が最も整っているかが示されています。
ルワンダは、その中の「コミットメントスケール」で83.93%を獲得しました。この報告によると、最も熱心でない国は0.85%のスコアを持つエリトリアだそうです。
ランキングの内訳について:東アフリカと西アフリカの国は、最も熱心な国の上位9位すべてを席巻し、2つの地域の外で最高ランクの国が10位になりました。ルワンダとは別に、上位10か国の他の3つの東アフリカ諸国には、ウガンダ(4位)、ケニア(7位)、ジブチ(9位)が続きました。
トップ10の5つの西アフリカ諸国には、マリ(2位)、トーゴ(3位)、ガーナ(5位)、ニジェール(6位)、セネガル(8位)という内訳になっており、中央アフリカから、サントメプリンシペ(10位)がトップ10に入りました。
南部アフリカまたは北アフリカの国は、今のところトップ10入りはしなかったそうです。
実装の部分を評価する「実装準備のスケール」では、南アフリカが、実施準備の点で68%と最も高く、次にルワンダが67.8%と続きました。
Afrochampionsの研究および技術顧問であるRichard Adu-Gyamfiは、ルワンダは市民を一列に並べるプラグマティックなリーダーシップを示していると述べ、「ルワンダは、非常に献身的であり、実装の準備ができている可能性があることを示しています。コミットし、実装の準備を整えるには、より多くの国が必要です。ルワンダは、それが可能であることを示しました。」というように発言しています。
現在のところ、大陸のAfCFTAへの全体的な平均コミットメントレベルは44.48%です。そしてその全体的な実装準備レベルは49.15%という割合になっています。
この大きな取り組みを実装するためには、全ての国の貿易円滑化能力を向上させる必要があり、それぞれの取り組みが重要になってきます。
小国ながら持ち前のパワーを発揮するルワンダの活躍に今後も目が離せません。
記事2:『Africa’s Free Trade Has Been Postponed But It Will Help Countries Rebuild After The Pandemic』
記事リンク:https://weetracker.com/2020/05/10/africa-afcfta-coronavirus/
内容と背景:
アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)は2030年に完全な運用が達成されると、12億人および計2.5兆米ドルものGDPをカバーする世界最大の貿易圏となることからアフリカ大陸内での貿易促進につながるとの期待が高まっています。ただこれまで面白記事でもとりあげてきましたように、今回のCovid-19により今年7月1日に予定されているその運用開始が延期となるのではないかといった見解が強まっています。
そこでこちらではAfCFTAに関する最新ニュースとして、AfCFTAの事務局長であるWamkele Mene氏の言葉を紹介しながら、その運用開始が6ヶ月ほど延期される可能性が高いとの見解を示している記事をご紹介します。
記事によると、パンデミック以前は各国政府は運用開始時期に関して強気であったにも関わらず、現在はCovid-19による現状に対処することが優先だとし、後退の姿勢を示しています。ただ彼らは運用開始の遅延が政治的意思とコミットメントの欠如につながるわけではないと指摘しています。
AfCFTAの事務局長であるWamkele Mene氏は次のように述べています。
「私たちは残念ながら誰も予想できなかった状況に適応する必要があり、政府に公衆衛生危機に対処する余裕を与えることが最優先です。」
AfCFTAは法的側面ではすでに完全な合意がなされていますが、実施段階の第一フェーズで解決する必要のある新たな関税規則に関しては未だ合意がなされていない状況です。記事では原産地規則や交通量削減に関する交渉はCovid-19の進出前にある程度進んではいたものの、現在は各国政府が交渉を続行できる状態にないと述べられています。加えてMene氏は今年5月にアフリカ連合がヨハネスブルクにてAfCFTAに関する最終決定を行うために開催予定であった首脳会談も開催できない可能性があり、各国における国境を超える移動の制限は今後長期的にAfCFTAの運用に制限をもたらすだろうと述べています。
記事後半ではパンデミックがアフリカ大陸内での国境を超えたバリューチェーン形成と製造能力強化の必要性を明らかにしたとの見解が示された上で、それゆえAfCFTAはその運用開始が延期されたとしてもCovid-19との経済的な戦いの中での生命線となるのではないかと期待が示されています。
アフリカ開発銀行(AfDB)の貿易と投資環境部門のマネージャーであるAndoh Mensah氏は先月記事のインタビューに対し次のように述べています。
「AfCFTAは計画的な政策と情報の調整、十分に整った貿易体制、また投資および貿易の円滑化の3つを通じて、パンデミックを抑えるための公衆衛生および貿易政策において効果的な照準を示すことができるでしょう。」
さらに記事文末では大陸内でのバリューチェーン形成に加えて、今回のパンデミックは知的財産権向上の必要性も明らかにしたと述べられています。記事ではAfCFTAにより産業開発と公衆衛生問題に対処するためにジェネリック医薬品産業が設立されることに期待が示されています。
AfCFTAの新たな運用開始日程はまだ発表されていない状況ですが、アフリカ諸国では米国、中国、インドといった国々の効力が弱くそういった国々の力を借りてCovid-19による経済的影響を緩和することは難しいため、域内貿易が経済再建へのひとつと効果的な軸となりうるでしょう。アフリカ諸国が大陸内での貿易を活発化させた際には、モノだけではなく、国境を超えた様々なリソースやノウハウの伝達も実現することとなるため、AfCFTAの運用には期待したいところです。
AfCFTAに関しては今後も面白記事にて最新のニュースをお伝えしていきますので、ぜひご注目ください!
関連記事:
- 「AfCFTA should not be delayed due to Covid-19, says AfCFTA Year Zero Report」 – Link
- 「AfCFTA delay: A bane to Africa’s $3.4 trillion economic bloc」 – Link
- 「Business leaders urge ministers to respect AfCFTA deadline of 1 July」 – Link
- 「AfCFTA Year Zero Report by The AfroChampions Initiative」 – Link
- 「AfCFTA YEAR ZERO REPORT Part One」 – Link