みなさん、こんばんは。
本日のアフリカビジネスTodayは、COVID-19に関連する記事についてケニアから1本、ルワンダから2本の記事を選んでお届けします。
ケニアからは、COVID-19の環境下において、中小企業への支援のために銀行や融資会社などが実行・計画している取り組みに関しての記事。
ルワンダからは、飲食業界の営業規制によって、被害を受ける酪農農家についての記事と、ルワンダの企業、FabLabの技術革新者らのチームが、国内ではじめてフェイスシールドを生産したことについて大きな注目を集めている記事について紹介します。
明日は、特別にコラムをお届けする予定です。明日もぜひチェックしてみてください。
記事1:『Banks to develop more innovative SME funding』
内容と背景:
先日のルワンダのCOVID-19への経済対策の中でも共有しましたが、今回はその少し前に書かれた、ケニアからの中小企業をCOVID-19の環境下、そしてその後の彼らの成長のために、銀行や融資会社などが行っている、あるいは計画している取り組みに関しての記事を。
ケニアだけでなく、アフリカ全体、そして世界様々な場所でもみられるように、中小企業は社会の経済発展に大きな影響を及ぼしています。しかし、今回のパンデミックで一番影響を受けた分野、企業たちもこのカテゴリーに入るのではないでしょうか。特に事業を進める、拡大する、持続するための資金繰りが一番の課題だったようです。
ケニアでの中小企業の経済への貢献は、毎年新たに創出される雇用の30%、GDPの34%に貢献しているようで、この割合も今後増えてくとこの記事では書かれています。その成長を支えるため、ケニア政府は、銀行の準備預金率を従来の5.25%から新たに4.25%に設定し、約352億ケニアシリング(約3.3億ドル)を準備預金額として銀行が所持できる状況を作り出し、銀行の中小企業への融資をできる余裕を持たせたり、銀行への返済期間を見直したりできるようにしたようです。
そして、そこにさらに、小額の融資を可能とする、銀行ではない、ICTを活用した企業体も出てきているようで、記事では、Stawiという、携帯電話からアクセスできる融資プラットフォームを紹介している。このプラットフォームでは、3万〜25万ケニアシリング(約280ドル〜約2300ドル)の間での融資を、返済期間1ヶ月から1年間に設定して中小企業に対して融資を行っている。
記事ではこのように小額でも融資をするイノベーティブな企業が出てくることで、そして銀行や規制局とのコラボレーションでより良い中小企業へのサポートスキームが作れるのではないかと締めている。
同様のプラットフォームや取り組みはアフリカの様々な国でも見られており、面白記事v.5(記事2)やv.7(記事4)などでも紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
関連記事:
記事:『Dairy farmers count losses as Covid-19 grounds movement』
記事リンク:
続きまして、昨日の自社コラムでも共有しましたが、COVID-19のパンデミックの影響により、ルワンダでは5月4日までの間、ロックダウンや営業規制によって、飲食店業でも大きな打撃を受けたことはみなさまもご存知かと思います。
それにより、具体的にはどのような影響が出ているのか。ということで、今回は乳製品産業の被害について、RWANDA TODAY から選んだこんな記事をシェアします。
乳製品加工施設とそれらを提供する店舗が閉鎖されたため、酪農農家は、製品の市場を見つけるのに苦労しているようです。残念ながら一部の農家は、損失を抑えるために安価に牛を販売していると報告されています。
この記事の中で酪農農家の一人は、「2頭の牛のうち1頭を販売することに決めたのは、生産された牛乳を販売する場所がなくなってしまったためです。ロックダウンのもとでランニングコストを維持するために莫大な費用がかかり、Rwf60,000の総損失を推定しています。」というように述べました。
また、ルワンダの酪農連盟は、現在、大量の牛乳生産は無駄になっていると述べています。会長であるGahiga Gashumba氏は、ホテルや中小規模の乳加工工場が本来、最大の牛乳の消費者であったため、それらの営業を停止したことによって、農家の損失はさらに悪化していると語りました。
ルワンダ政府は、貧困削減と国民の栄養改善のために、2006年から「ギリンカプログラム」というプログラムを通して1世帯に1頭、牛を供給してきました。また、様々な政策を打ち出し、乳製品産業は国内経済に少しずつ貢献をし始めていました。
生乳の価格も100RWF以下で取引されていたものが、ここ何年かでやっと正式な市場において、200RWF以上で取引されるように取り決めが改正されたにも関わらず、この記事では、また市場価格が100RWFまで下がってしまったということが書かれています。
ロックダウンや営業規制が行われている水面下では、このように多方面で様々な問題が浮かび上がっているということがわかります。パンデミックが落ち着いたとしても、その後の問題が全て解決するには時間を有するということは、どの国でも変わらない重大な課題であると言えます。
記事:『Rwanda’s FabLab shifts focus to production of face shields』
記事リンク:
https://www.newtimes.co.rw/news/rwandas-fablab-shifts-focus-production-face-shields
内容と背景:
続いて、ルワンダの首都キガリにあるFablabが近頃フェイスシールドの生産に注力しているという話題をご紹介します。
もの作りやデザイン力、最先端技術等の競争力を高めることを狙いに、2016年より若者にハードウェアと電子工学の分野にてイノベーションスペースを提供してきたFablabでは、これまで3Dプリンターやレーザーカッター等の機材を使用し、義足などを始め多くの試作品が作られてきました。
そこで記事によると、Covid-19の影響による需要の高まりに応えようと、Fablabでは1ヶ月ほど前にルワンダ人の技術革新者らのチームが国内ではじめてフェイスシールドの試作品を制作し、多くの病院や個人の注目を集めているようです。記事ではFablabは近頃の需要の高まりにより市場で不足が生じている個人用保護具(PPE)を生産するマイクロ工場とも言えると述べられています。
Fablabのゼネラルマネージャーでありながら機械エンジニアの一人でもあるDanny Bizimana氏によると、Fablabは最初は人工呼吸器の製造を試みたもののその製造には多くの時間を要することがわかり、フェイスシールドの製造にシフトしたようです。Apple社やFord社、Nike社、Amazon社などのグローバルカンパニーも現在フェイスシールドの生産を行っている中、彼の話によると、Fablabでは少なくとも1日に500個のフェイスシールドを生産することができ、また非常に高品質なものとなっているようです。
フェイスシールドは現在最前線で働く医療従事者だけでなく、航空業界などでポストコロナに必要な装備の一つとして今後も需要は拡大すると考えられます。記事によると、一部の航空会社ではすでにオペレーションの際の服装の一部として客室乗務員のフェイスシールド着用が計画されているようです。
次世代の起業家やイノベーターの教育を目的にKlabに隣接する形で、ICTチェンバーが主導し2016年に設立されたルワンダのFablabですが、数年後に商業製品のハブとなっていようとは誰が想像したでしょう。Bizimana氏は、Fablabが本質的に変革的なソリューションを開発するために動くことができるだろうとの多くの楽観的な見方があるが、それはメンバーがそのビジョンを実現するために必要な精神にすぎないと述べ、今後のFablabの貢献に期待しています。
面白記事でもたびたびご紹介している通り、今回のCovid-19は様々なセクターにてこのようなイノベーション活用の促進剤となり、アフリカ大陸では実際に多くの新しいサービスが展開されつつあります。しかし、これは今回ご紹介したルワンダのFablabを始めCovid以前から大陸がICTの活用促進に注目し特に民間セクターに注力し取り組みを行ってきた賜物と言えるのではないでしょうか。今後もルワンダのみならずアフリカ大陸全体で民間セクター発のイノベーションに期待したいところです。
記事にはFablabでエンジニアらがフェイスシールドを製造している光景やゼネラルマネージャーであるBizimana氏のインタビューなどを含む5分程度の動画が掲載されていますので、ご関心のある方はそちらもぜひご覧ください!
関連記事:
- 「Fablab Rwanda builds COVID-19 spray door frame」–Link