みなさん、こんばんは。
今日はFintech分野の現状を教えてくれる記事を3つ選びました。
いつもなら2記事なのですが、今回は個人的にいい流れが描けそうだったので、3つにしてみました。
参入のアドバイスから、実際の経験共有、そして、今起こっているちょっとした面白い話題(読んでいて勝手にそう感じました)をお届けしています。
是非楽しんでください。
そして、明日の面白記事もお楽しみに!
記事1:『How to Launch a Digital Bank in Africa: Top 5 White Label Solutions』
内容と背景:
この面白記事で何度も取り扱ってきた、「Fintech」関連の話題。今回はそこに少し集中した記事を共有していきます。まず最初の記事は、電子金融をアフリカで始める方法と題したこちらの記事から。
こちらの記事では、アフリカの人口の60%がまだ銀行口座を持っていないことを指摘し、彼らを取り込むことがこの分野に参入する一番の旨味だとしている。さらなる旨味として、金融業が未発達である事実が、様々な障壁やしがらみをなくすだけでなく、「あったらいいなー」的なものから、「なければいけないもの」へと簡単に代わりえるとしている。勿論言うまでもなく、人口の多さ、成長度合い、特に現在の13億人といわれる人口の3分の2が24歳以下であることはこの旨味から外せないとも書いている。
この分野の今後の明るい予測としては、2011年からのモバイル取引の成長度合いが900%を記録したこと、2025年までに全人口の3分の2がスマートフォンを持つだろうとの予測、そして、イノベーションをサポートするシステムや場所が増えていること(現在イノベーションハブ系の施設は600箇所以上)などを挙げている。
ただ、アフリカ大陸が広大であり、それぞれの国が全く違った様式のもと動いているとし、欧米で成功したシステムなどをそのまま持ち込むことですぐに様々な課題に直面してしまうと指摘し、「経験」と「専門性」の適材適所での導入がカギを握るとしている。
そして、記事の締めくくりとして、彼らが勧めるモバイルウォレットプロバイダーを5社紹介している。
少し長めの記事だが、全体像がよく説明されているので、面白く、楽しく読めるのではと思います。
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記事2:『Mastercard: “In Africa, our biggest competitor is cash”』
記事リンク:https://www.theafricareport.com/29360/mastercard-in-africa-our-biggest-competitor-is-cash/
内容と背景:
次は実際にこの分野に入った世界的企業であるMastercardの経験を共有するインタビュー記事をお届けします。
同社のサハラ以南のアフリカの事業担当をしているRaghav Prasad氏へのインタビューでは、企業のこのマーケットでの経験や、考え方、これまで行ってきたことに加え、どのようにして事業を拡大させているのか、そして今後の計画など様々な話題を通してアフリカのマーケットについて話しています。いくつかのキーワードをハイライトして、ご紹介します。
キーワード1:最大の敵は紙幣
アフリカでの取引の95%が紙幣を介して行われていることに触れ、様々なカード会社や彼らが提供するサービスについて考えることもできるが、この95%と言う高い割合をどう減らすことができるのか考える必要があると話しています。そして、この課題に挑戦するために、ここ2年ほどでセネガルやコートジボワールなどに新たに事務所を作ったこと、そしてこの期間に中東・アフリカオフィスで採用された人の40%がアフリカ市場のための人材だとも話しています。
キーワード2:一緒にWin-Win関係を作る
こちらでは、彼らが、例えばタンザニアでは、商店や、携帯通信企業であるAirtelとのパートナーシップを通して、これまで対象とならなかった人たちを包括的に取り込むことを実現させることで、無事ネスがうまくいったとしています。また、デジタル化に取り組むスタートアップへの投資や、ファンドへの参加、そしてケニアでの同社のイノベーションセンターの設立なども、自らの力だけで市場を開拓するのではなく、自他問わず様々な知見を総導入することで、よりよく市場が開拓できると言うメッセージを送っているのではないでしょうか?
キーワード3:既存の考え方ではやっていけない
先の記事でも指摘しているように、欧米的なビジネスモデルではアフリカは測れないばかりか、成功させるのが難しいようで、新しい「playbook」を作り、それをインプリメンテーションする必要があると答えています。特に重要な点として、「イノベーションと組み合わせる」ことや、「互換性を高める」、そして、「低価格で作れるプラットフォーム」などをあげています。これらのやり方を通して、実際にタンザニアでは「人対人」の中で起こりがちな取引を、個々の商店を含めることで、「人対店」の取引の可能性を高めたようです。そしてそれがキーワード2にも繋がる、様々なパートナーと共に取り組むことの重要性をも示したのではないでしょうか。
こちらのインタビュー記事、どうでしたでしょうか?是非英語の本文も読んでいただきたいものです!お時間ある方、この分野だけでなく、他の分野にご興味ある方でもいくつか参考になる考え方などがあるのではないでしょうか?
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記事3:『Ghana to reduce MTN’s telecoms market share』
記事リンク:https://af.reuters.com/article/commoditiesNews/idAFL8N2DL41B
内容と背景:
そんな中で、今度はガーナで起きている、外から見ていて、面白いと感じてしまう出来事。MTN社のお金周りのシェアの拡大に危機感を感じている政府がMTN市場シェアの削減をしようとしているのです。
アフリカ最大の電話通信会社でもあるMTN社ですが、ガーナでの市場シェア率は、通信容量だけでなく、モバイルマネーの市場ても高いそうで、「国家通信局(The National Communications Authority:NCA)は、近い将来、電気通信業界内のすべてのネットワーク事業者に平等な立場を確保するための具体的な政策の実施を開始する」という声明で述べました。当局の統計によると、モバイルデータサブスクリプションにおけるMTNのシェアは、1月から3月までの市場のほぼ70%を占めているということで、これに対し問題視をしているようです。
他の記事ではこの件について、おそらくガーナの規制当局は、「会社が最終的に国の支配者になる可能性があるのではないかということを懸念している」という見方をしています。Link
これは、ここ近年でガーナのモバイルマネー市場がアフリカ大陸内で最も急速に成長していると評価されているという一方で、その国内金融市場は、モバイルマネーに依存してしまう可能性があるということや、銀行口座を持たない国民が急増することで、ガーナ銀行の安定性が危ぶまれるのではないかということから起因しています。
今回のガーナにおけるMTN社のこのような例は過去にケニアでもあり、同じように業界トップシェアを占めるケニアのSafaricomに懸念が集まっていることがあり、昨年、政府主体で業界シェア2位のAirtelと3位のTelkom Kenyaの合弁が行われたこともありました。
しかし、依然として現在もSafaricomの業界シェアは成長し続けています。
国の経済を牽引する役割を持つ企業の活躍ですが、国家権力にまで相当する存在になってしまうことのリスクに関して、国はしっかりと管理する必要があるということを痛感します。
ガーナがMTN社に対し、具体的にどのような措置を実施するのか、またその結果、ガーナの通信業界に何か変化が生まれるのか、新たな情報が得られ次第、こちらでまたシェアさせていただきたいと思います。
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関連記事
- 「Ghana’s move to curtail MTN’s market share is about mobile money, not voice」 – Link
- 「Airtel and Telkom are uniting to take on Safaricom in Kenya」 – Link
- 「Ghana is now the fastest-growing mobile money market in Africa」 – Link
- 「Safaricom Shares Rise to An All-Time High」 – Link
*この記事は弊社が主体となって運営する、日本・ルワンダビジネスコミュニティ(https://www.japan-rwanda.biz)に投稿した記事と同様の内容となります。