みなさま、こんばんは。本日はルワンダに関する話題を2つピックアップしました。
ルワンダ市民の日常に欠かせないバイクタクシーが、ついにキャッシュレス化に!
そして、キガリ銀行が生命保険のサービス提供を行うことについての話題です。
ルワンダからの最新ニュース、ぜひお楽しみください。
記事1:『Motorcyclists in Rwanda to use meters and cashless payments from June』
記事リンク:https://techcabal.com/2020/05/28/motorcylcles-rwanda-cashless-payments/
内容と背景:
本日は初めに、ルワンダにおけるバイクタクシー業界のデジタル化に関する記事をご紹介します。
(※この記事は5月28日に掲載されたものですが、6月1日の政府の公式発表により、バイクタクシーの運転再開が延期になったようです。The official Twitter account of the Office of the Prime Minister of Rwanda)
ルワンダでは5月より段階的にロックダウンが解除され始め、現地の人々の主な交通手段であるバイクタクシーも街中に戻ってきている中、ルワンダ公共事業統制当局(RURA)はこの度バイクタクシーらに対してメーターの利用、キャッシュレス決済の実施、またフェイスマスク着用の義務化および手指消毒剤携帯の推奨を発表しました。記事によるとこれらの規範は今年6月1日から効力が発生する予定だったようです。
事実上今回発生したCovid-19に対する感染拡大の予防策として今回のバイクタクシーの使用の再開の発表と同時の施行が発表がなされた形となりましたが、記事によると実は以前から実施が検討されていたことのようです。実際、ルワンダにはキガリの公共バスで使用されている「Tap-and-go」と呼ばれる、スイカのような決済システムに基づき、バイクタクシーオペレーターによるキャッシュレス決済システム導入に向けた全国的なオートバイ輸送戦略が存在し、今回の発表も少なからずこの戦略に基づくものであると考えられます。
昨年、ルワンダのインフラ省は運賃をめぐる乗客と運転手間の争いをなくすこと、交通へのアクセスの増加、また無謀運転の追跡を図るため、二輪車に対して今年7月1日を期限にメーター導入の義務化を宣言していました。今年2月にその期限は5月へと変更されましたがCovid-19の影響により3月下旬からすでにオートバイの走行が制限される形となったため完全な実施には至らなかったのですが、今回のCovid-19の拡大防止のためのどう環境下でのバイクタクシーのオペレーションの基準を設けるという形で再発表・導入に至りました。
ニュータイムズ紙のレポートによると、今回の発表に基づきYego Moto、Pascal Technology、Mara Groupなど同国のテクノロジー企業がキャッシュレス決済技術を導入し、146のバイクタクシー協同組合がGPS対応デバイスを車両に設置しているようです。
記事によると規制局である、Rwanda Utilities Regulatory Authority(RURA)は発表の中で、国内のモバイルマネーオペレーターのうち合計85%もの市場シェアを占めているMTN社とAirtel社への今回のバイクタクシーのキャッシュレス決済導入・普及での彼らへの期待の高さを表しており、また、以前面白記事v.27の記事2でもご紹介したようにルワンダではロックダウンが始まった3月23日より90日間にわたりモバイル送金手数料の免除が実施されており、今回発表のあったバイクタクシー業界におけるデジタル化のみならずルワンダでは国を挙げて様々な産業でキャッシュレス決済の導入を始めとするデジタル化を図っていることがうかがえます。
コロナ環境下での一般生活においてもキャッシュレス決済導入を推奨するなどの背景があることから、今回の発表は市民社会レベルでのデジタル化をさらに推し進めるものと考えられる上、ルワンダでは登録済みバイクタクシー運転手が37,000人を超えていることなどから、雇用数や利用顧客数の面で多くの人々を巻き込んでいる業界であることからという意味で大きな動きとも言えます。ICT立国とも言われるルワンダで今後デジタル化がさらに進行するのか、今後もアンテナを張り続けたいところです。
関連記事にはウガンダでも同様の動きがあるという話題の記事を載せました。過去に投稿した関連記事と合わせてぜひお読みください。
関連記事:
記事2:『Rwanda: Bank of Kigali to buy life insurance business or start its own』
内容と背景:
お次は、同じくルワンダから、「キガリ銀行、生命保険事業を買収または独自に開始」と題されたこちらの記事についてご紹介します。
アフリカのあらゆる市場の成長は、増え続ける人口や潤沢なリソースなどから注目されていますが、アフリカ大陸の保険産業は急激に成長する可能性があるという期待が特に大きいようです。
ルワンダのFuture Drivers of Growth in Rwanda : Innovation, Integration, Agglomeration, and Competitionによると、2015年度の諸外国による直接投資の内訳の中で、保険分野はICT産業(US$592millions)の28%に次ぐ、2位にランクインし、Financial and insurance activities($477millions) の22%となっていました。link(p.163)
このように国外からもその成長が期待されている保険部門ですが、今回、ルワンダ国内の代表的な銀行であるキガリ銀行は、中期的にその範囲の金融サービスを拡大して生命保険を含めることを目指すと述べました。
この記事では、このような保険産業の拡充に当たって、昨今のスマートフォンによるデジタル化の促進についても言及しています。
コロナウイルスの影響による都市封鎖期間中には、銀行をはじめとしたサービスの他に、既存の住宅ローンに関するサービスもデジタル化が推し進められた一方で、スマートフォンを持っていない人々がそのサービスの恩恵を受けられない点について問題視されはじめました。
そこで、1月にはConnect Rwanda campaignという活動で、キガリ銀行は対象者に無償でスマートフォンの提供を行いました。
今回の記事では、キガリ銀行のCEOは、このような状況を長期的に捉えた時、人々にスマートフォンを提供するということだけでは不十分であるという考えを述べた上で、提供したその先には電気通信環境、携帯通信料、さらには教育的な面についても必要になってくるだろうということを言及しています。
コロナウイルスの蔓延に伴って、アフリカ諸国のICT産業はあらゆる分野を横断的に網羅するような産業の基盤として、その存在感を発揮していますが、この記事の中でも言及されているように、電気通信環境や人々へのそのICT利用に関する教育について、そういった基盤の部分をしっかりと押さえる事も大切なではないかと感じました。